今回は、日本の子どもたちが英語を話せるようになるために必要なことをご紹介します。
また、”話せるようになる”というのにもいろいろレベルがあると思いますが、今回は、英語での意思疎通のみならず、日常生活や仕事で英語を活用できるバイリンガルレベルの英語力を身につけるために必要なことについてお話していきます。
日本で英語を話せるようになるために必要な3つの要因
母語である”日本語”と第二言語である”英語”を日常生活や仕事に活かせる人を『バイリンガル』と呼びます。
このバイリンガルと呼ばれる人たちには共通点があります。
それは「英語を使用している時間が圧倒的に長い」ということです。
それと同時に長い時間英語を使い続けられる「持続可能な環境」と「人間関係」があるということも重要です。
英語圏にいると自然に英語を習得していくように見えますが、それはこの3つが簡単に得られるからです。
逆を言うと、この3つの要因を揃えることができれば、子どもが日本で生活しながらバイリンガルと呼べるほどまで英語力を身につけることは可能です。

英語の使用時間
バイリンガル教育の研究によると、英語の使用時間と英語力は比例することが分かっています。
例えば、実際にピアノを3,000時間弾いて練習した人と、テキストやCDでピアノの弾き方を3,000時間勉強した人、どちらが上達するかは言わずもがなです。
つまり、英語を習得するには、英語を使用する時間を長くすることがとても大切です。
しかし、ピアノの勉強が全く不要であるかというと、そうではありません。これは、英語においても同じです。いわゆる”座学”と呼ばれる勉強もバイリンガルには欠かせない要素なのです。
ネイティブ・スピーカーでも同じで、読み書きの勉強ができているからこそ、高い英語力を身につけることができるというわけです。
ただし、英語力の柱となるのは、「実際に英語を使用した時間」であり、「英語の勉強」はあくまでも補助にすぎません。
では具体的に『バイリンガル』と呼べるほどの英語力を身につけるには、どのくらいの時間を要するのでしょうか?
これは、3,000~5,000時間といわれています。
日常会話のような簡単な内容の英語を流暢に話すには、3,000時間ほどが必要だといわれています。
一方ビジネスにも活かせるような難しい内容の英語を流暢に話すには、5,000時間もの時間が必要だといわれます。
この時間というのは、過去に何万人ものバイリンガルを育成しているカナダの「イマージョンプログラム」(バイリンガル育成プログラム)でも証明されています。
カナダにてバイリンガル育成に最も効果的だとされるこのプログラムは、5~10歳くらいまでの5年間、全ての授業や活動が第二言語である”英語”で行われます。
子どもたちは家では母語(日本語)を使い、学校では第二言語(英語)を使用するのが当たり前であり、自然に英語を使いながら生活を送ります。
小学校4年生までの5年間、英語を使って勉強したり、活動したりする時間の合計は約5,000時間になります。
一方、英語圏で生活した場合も英語を習得するまでには同様の時間がかかるようです。
英語が全く話せない状態から、アメリカなどに移住して学校に通いはじめると、一般的に授業に着いていくには最低2~3年程度、授業で好成績をとるには、4~5年ほどの長い年月を要します。
この場合もやはり、英語の使用時間の合計は約5,000時間にのぼります。
さらに、赤ちゃんが生まれてから言葉を話し始めるまでに母語に触れる時間もだいたい5,000時間といわれています。
つまり、言語力が一定のレベルに到達するまでに必要な時間は、母語であれ第二言語であれ、5,000時間が一つの目安になるということです。
持続可能な英語環境
日本で暮らしながら、英語の使用時間を3,000~5,000時間にするには工夫が必要です。
そのため「持続可能な英語環境」を作ることが必須といえます。
一昔前は、片親が英語の母語話者であるケースやインターナショナルスクールに進学するケースでもない限り、英語を使用できる環境を維持するのは難しいとされていました。
しかし、今は多くの人がこれを可能にしています。
現代は、幼少期より自宅でもYouTubeや絵本、CD、ゲーム等を使用して英語に触れることができます。また、英語幼稚園もあり、英語を学べる教室、オンラインスクールなども利用できますので、昔よりも英語環境が維持しやすくなりました。
毎日何時間も英語に触れられなくとも、コツコツと英語を話せる環境、時間を維持していけば、高校卒業後でも、大学卒業後でも、3,000~5,000時間に達し、自由に英語を使いこなせるようになる日が訪れます。
大切なのは、子ども自身が英語を使い続けることです。
そこで、子ども自身が英語を使うことに大きな価値を見出すために、次の「人間関係」がとても大切になってきます。
人間関係
例え、親が子どものためにと「英語環境」を作っても、子ども自身にやる気がなく、英語に価値を見出だせなければ、英語の習得は難しくなります。
最悪の場合、今までに積み上げた英語力も全てパーになってしまう可能性すらあります。
そこで大切なのが、「人間関係」です。
先生でも友達でも誰でも良いです。
仲良くなったその相手とは”英語を使わないとコミュニケーションがとれない”という人間関係を作ることです。
はじめは、楽しくコミュニケーションがとれるバイリンガル教育専門の先生などがおすすめです。
子どもに寄り添って”楽しく”英語のレッスンを行ってくれるので、できるだけ多く話す機会を作り、信頼関係を育んでいきましょう。
「この先生が相手なら、自信を持って英語を話せる!」そういう成功体験が、後の成長の土台になります。
なぜ、あの人は英語を習得できたのか?できなかったのか?
英語習得に向けて勉強している日本人は、何万人以上にものぼります。
しかし、多くの日本人が”流暢に話せる”レベルの英語力を身につけることができていません。
なぜ、英語習得が上手くいかないのか、先ほどの3つの要因「英語の使用時間」「持続可能な英語環境」「人間関係」から見ていきましょう。
また、子どもをバイリンガルとして育てたい場合は、この3つの点をどのくらい満たしていくか客観的に考えてみてください。
文法・単語の勉強

英語の授業でもおなじみの文法や単語の勉強は、3つのうち、どれにも当てはまりません。
特に日本語で英語を学ぶ場合は、英語の使用時間はゼロのままです。そのため、文法や単語の勉強だけでは英語を話せるようにはなりません。
ただ、英語を話す力が既にある場合は、補助的な知識として大いに役立ちます。
実際、ネイティブ・スピーカーも同じように学校で文法や単語を学習し、より高い英語力を身につけています。
英会話

英会話のレッスンは継続して英語を使用する時間がとれ、英語を通した人間関係を築くことも可能です。
英語の習得は持続的な勉強が必須であるため、「英語環境」と「人間関係」においては、英会話は優れています。
ただ、英語の使用時間は決して多くはありません。レッスンだけでは、英語との使用時間を十分に確保できないため注意が必要です。
例えば、週に2時間の英会話を10年間続けても、960時間にしかならず、流暢に会話ができるようになる3,000~5,000時間に達するには、30~50年の期間を要します。
ラジオ英語

最近は、ラジオ、YouTube、ポッドキャストなど、英語の”聴く”教材も増えています。
しかし、ほとんどの教材は日本語を多用した分かりやすいものになっているため、実際に英語に触れる時間は非常に短いです。
そういった教材では、文法や単語の補助知識の勉強にはなりますが、英語を使用する時間は短いため英語力そのものは伸びにくいです。
また”聴き流す”教材も、理解せずに聞いていたり、日本語の補助が常にあるものは英語の使用時間にはカウントされません。
英語の映画・ドラマを見る

英語の映画やドラマは、自分も楽しみながら長時間英語に触れられるので「使用時間」や「英語環境」の点では非常に優れています。継続して行えば、英語力も養われていくことでしょう。
しかし、内容を理解していることが前提です。内容が理解できないままに観ているのは、”聴き流し”と変わりません。「使用時間」にカウントするには、きちんと映画やドラマの内容を理解することが必要なのです。
また、この方法のデメリットは「英語を話す時間が極端に少なくなる」ということです。この方法に加え、”英語を話す”環境を築いていくとより効率良く英語力を伸ばすことができます。
洋楽を聴く

洋楽を聴くのは、映画やドラマを観ることとイコールのようですが、大きく異なります。
好きな音楽に触れるのはとても良いことですが、歌詞の内容を理解しながら聴き続けるのはほぼ不可能です。そのため、洋楽を聴いていても、英語の使用時間にはカウントされません。
また、語彙や表現も限定的なため、洋楽を聴くだけで英語を習得するのは難しいです。ただ、英語を好きになるきっかけや英語力の確認には優れています。
洋書を読む

英語の本を読むことは、「使用時間」にカウントできます。理解しないままにも勝手に進む映画やドラマ、音楽とは違い、自分のペースで理解して読み進めることができるためです。
幅広い英語にじっくり触れることができるので、英語力を鍛えたい方にもおすすめです。
ただ、英語の本を理解しつつ読むというのは、非常に大変なことでもあります。集中力やモチベーションが維持できるかどうかがポイントです。
「読む」という作業は、目に入る単語から意味を作り出す「擬似的なアウトプット」です。アウトプットの練習を頭の中で繰り返し行い読み進めるので、英語の会話力も洗練されていきます。
短期留学

短期留学は英語に触れ、友達を作ることができるなど、「英語環境」と「人間関係」が簡単に作れる点で非常に優れています。
しかし、期間が短かったり、授業数が少なかったりと、実際の英語の使用時間はそれほど多くならない傾向があります。
授業中の英語はしっかり集中して聞いていたとしても、授業外でも英語に触れる努力をしないと日本にいるのとさほど変わらなくなってしまいます。
例えば、実際に英語を使用する時間が1日2時間である場合、3ヶ月の留学では180時間ほどにしかなりません。
短期留学のデメリットは、英語の接触時間が確保できないことです。
この部分を予め補っておけば、より効率良く勉強することが可能です。
SSUPは、日本にいながら、毎日何時間も英語に触れることができます。
英語の接触時間はSSUPで確保し、それ以上の部分を留学で学ぶというのが非常におすすめの英語習得法です。
イマージョン教育スクール

国語や算数を”第二言語”である英語で学ぶことを、イマージョン教育と呼びます。
教科も学びつつ、英語を身につけることが目的の画期的なプログラムです。
英語を使用する時間はもちろんのこと、継続して英語に触れる環境、人間関係もあり、3つの要因がバランスよくあります。
英語が生活の一部だと認識できるようになれば、安定して英語力は伸びていきます。ただ、日本に住みながら英語を習得するには、十数年ほどの時間を要するため、長期的な計画が必要です。
幼少期からイマージョン教育を受けたい場合には、SSUPがおすすめです。
無料の体験授業も実施しておりますので、イマージョン教育に興味がある方は体験してみてください。
インターナショナルスクール

全日制のインターナショナルスクールは、英語習得において理想的な環境が整っています。
ただ、インターナショナルスクールは、英語が母語の子どもを対象にしているため、英語が話せないとついていけないという環境でもあります。
学校にいる長い時間、毎日英語に触れ、人間関係も築けるので、3つの要因がバランスよくあります。
今までの生活とは大きく異なるため、子どもは大変な思いをすることもあると思いますが、英語習得を考えると、これ以上ない理想的な環境です。
最後までご覧いただきありがとうございました。