バイリンガルの種類とは?

バイリンガルへの道

今回はバイリンガルにはどんな種類があるのか紹介していきます。

バイリンガルの種類

母語と第二言語(母語より劣る場合が多い)など2つの言語を持つ人をバイリンガルと呼びます。

1つの言語を話す人(モノリンガル)と比べて、2つの言語のバランスやレベルでさまざまなバイリンガルが存在します。

ここでは最も基本的なバイリンガルの種類を紹介していきます。

言語というのは常に変化するものなので、今現時点での種類となります。

今回は分かりやすくするため、母語が日本語、第二言語が英語のバイリンガルを想定して説明していきます。

<日本語と英語のバランスを基準にした種類>

日本語能力と英語力のバランスによって、3つに分類されます。

① バランスドバイリンガル(Balanced Bilingual)

② ドミナントバイリンガル(Dominant Bilingual)

③ ダブルリミテッドバイリンガル(Doble Limited Bilingual)

① バランスドバイリンガルとは、日本語も英語も同じように能力が高い状態のバイリンガルです。どちらもネイティブと同等、または必要十分に使いこなせる場合、これに該当します。

② ドミナントバイリンガルとは、日本語か英語の一方がネイティブレベルで、もう一方がそれより劣る状態のバイリンガルです。日本で英語を習得した場合、大抵日本語がネイティブ、英語がやや劣るドミナントバイリンガルになります。逆に、あまりに日本語の接触が少ないと英語がネイティブで、日本語がやや劣るドミナントバイリンガルになります。

例えば、親がアメリカに移住、その後生まれた子どもは、親が日本語ネイティブのため家では日本語を使うが、それ以外はすべて英語という生活を送ります。そのような場合子どもは、英語がネイティブで、日本語は母語だけれども英語より劣るという状態になります。

③ ダブルリミテッドバイリンガルとは、日本語も英語もネイティブレベルより劣る、または必要十分に使いこなせない状態のバイリンガルです。

母語を習得する0歳〜5歳の時期にネイティブレベルの日本語を習得できなかったり、日本語も英語も十分な接触が得られないような環境で幼少期を過ごしてしまうと、このような状態になる可能性があります。

日本にいる限りは常に日本語に囲まれているので全く心配はないですが、海外で生活する場合には日本語と英語に十分触れる時間があるかどうか注意が必要です。

<英語の4技能のバランスを基準にした種類>

英語力の話す・聞く・読む・書くのバランスで、3つに分類されます。

① 話す・聞く・読む・書くすべてできる(バイリテラル Biliteral)

② 話す・聞くはできるが、読む・書くはできない(会話型バイリンガル)

③ 聞くはできるが、話す・読む・書くはできない(聴解型バイリンガル)

※ 読む・書くだけできる状態は通常バイリンガルとは呼ばれません

① 話す・聞く・読む・書くすべてできる状態をバイリテラルと呼びます。英語で教育を受けたり自ら学んだりして読み書きを習得、かつ会話する時間も十分にあり話す聞くも習得した状態です。日本の英語教育は読み書きを重視しているので、それと合わせて話す・聞くを習得した場合はバイリテラルになりやすいと言えます。

② 話す・聞くはできるが、読む書くはできない状態を会話型バイリンガルと呼びます。例えば、すべて英語で活動が行われるプリスクール幼稚園へ通う子どもなどは、十分英語に触れて話す・聞くはできるけれども、本を読んだり文を書いたりは出来ない場合がよくあります。そのような状態は会話型バイリンガルと言えます。

③ 聞くはできるが、話す・読む・書くはできない状態を聴解型バイリンガルと呼びます。上記のプリスクールの例で、まだ英語は話せないが理解はできている状態はこれに当たります。

また英語圏に移住した日本人の子どもになると、親との会話以外はすべて英語になるので、徐々に英語ネイティブ、日本語が劣る状態になっていきます。日本語を習得したいという本人の強い意思がない場合は、親が日本語で話しかけ、子どもは英語で答えることも起こり得ます。これにより日本語が話せなくなると聴解型バイリンガルと言えます。

<文化への対応力を基準にした種類>

1つ目と2つ目は言語能力を基準にバイリンガルを分類してきました。3つ目は文化という側面からバイリンガルを見ていきます。

文化というと「何かよく分からないけれど重要なもの」という曖昧なイメージがありますが、ここでは「ある場面で期待される行動」を文化と考えます。

例えば、同郷の人と話していると落ち着くということがあるかと思います。これは相手と自分の文化(期待する行動)が同じで、お互いに期待する行動をしているからです。しかし、自分とは全く違う地域の人、違う国の人と話す時には、言語に問題がなくても少し気を遣うのではないでしょうか。これは慣れない相手の文化(相手が期待する行動)に対応しようとしているからです。

母国(日本)と英語圏の国(アメリカ、イギリスなど)の文化(ある場面で期待される行動)への対応力、3つに分類されます。

① 2つの国それぞれで、周りの人の期待通りに行動できる(バイカルチュラル Bicultural)

② 1つの国で、周りの人の期待通りに行動できる(モノカルチュラル Monocultural)

③ 2つの国どちらでも、周りの人の期待通りに行動できない(デカルチュラル Decultural)

① 2つの国それぞれで、周りの人の期待通りに行動できる状態をバイカルチュラルと呼びます。

例えば、日本人と話す時は日本人として、アメリカ人と話す時はアメリカ人として、自然に振る舞うことができるバイリンガルです。親が日本人とアメリカ人で、かつ日本でもアメリカでも生活し育った経験がある場合にこのようにそれぞれの国や場面で期待される行動に柔軟に対応することが可能です。

② 1つの国で、周りの人の期待通りに行動できる状態をモノカルチュラルと呼びます。

幼稚園〜中学校まで日本で過ごした場合は、その後英語や英語圏文化に触れても、多くの場合日本のモノカルチュラルとなります。

日本のモノカルチュラルの場合、アメリカにいても自分のことを日本人だと認識し、常に日本と比べてアメリカの人・モノがどうかという見方をします。

③ 2つの国どちらでも、周りの人の期待通りに行動できない状態をデカルチュラルと呼びます。

自分が生まれた国ですら溶け込めず、自分は何人なのか、自分の居場所はどこなのか悩む場合もあります。

小さい頃から同じ国に長く住む経験がないと、この状態になる可能性があります。

文化というのは簡単に習得したり失ったりするものではありません。そのため、小さい頃は日本で育ち、日本文化を習得したけれど、その後アメリカに強く影響を受け、日本で期待される行動をするのに抵抗が出た場合はデカルチュラルとは呼ばれません。

また文化習得には程度があり、文化(ある場面で期待される行動)を理解することは大人になってからでも可能ですが、それを当たり前のものとして身につけるには小学校低学年までにその文化圏で生活する経験が必要と言われています。

日本人バイリンガルのよくあるケース

これまでに紹介した基準を元に、日本人バイリンガルのよくあるケースを見ていきましょう。

ここで言う日本人バイリンガルとは、日本で生まれ母語として日本語を習得し、第二言語として英語を習得した人を指します。

<日本語と英語のバランス基準>

日本人バイリンガルの場合、地理的に日本語圏と英語圏の距離が離れていることから、日本語と英語を同じレベルで維持することは難しく、ほとんどの場合ドミナントバイリンガル(Dominant Bilingual)となります。

中には親が英語ネイティブであったり、インターナショナルスクールに通うなど、日本語環境と英語環境を行き来できる場合はバランスドバイリンガル(Balanced Bilingual)になることもあります。

また日本にいる限りはダブルリミテッドバイリンガル(Doble Limited Bilingual)になる可能性は限りなく低いです。

<英語の4技能のバランス基準>

日本では英語の読み書きをかなり重視しているので、話す・聞く・読む・書くがすべてできるバイリテラル (Biliteral)である場合がほとんどです。

ただすべてが高いレベルで出来る場合は稀で、一般的には聞く・読むという受動的なスキルが高く、話す・書くという能動的なスキルが劣ります。

日本の英語教育を受けた人に見られる、読み書きはできるけれど話せない状態は通常バイリンガルとは呼ばれません。

<文化への対応力基準>

日本で育った場合には、1つの国で周りの人の期待通りに行動できるモノカルチュラル(Monocultural)になる場合が多いです。

ただ小学校低学年までに英語圏に移住した場合には、2つの国それぞれで、周りの人の期待通りに行動できバイカルチュラル(Bicultural)になるかも知れません。

また日本で育った場合、2つの国どちらでも、周りの人の期待通りに行動できないデカルチュラル(Decultural)になる可能性は限りなく低いです。

日本でバイリンガル教育をする

こうしてみると地理的な条件から、日本でバイリンガルとして理想的なバランスドバイリンガル(Balanced Bilingual)やバイカルチュラル(Bicultural)になることは難しいのですが、バイリンガルとして避けたいダブルリミテッドバイリンガル(Doble Limited Bilingual)やデカルチュラル(Decultural)はほとんど心配する必要がないことがわかります。

また英語4技能 話す・聞く・読む・書くすべてできるバイリテラル(Biliteral)になる環境も整っています。

つまり日本でバイリンガル教育を行う場合、日本語や日本文化については心配は無用です。

では日本でバイリンガルになることは可能でしょうか?

ドミナントバイリンガル(Dominant Bilingual)やモノカルチュラル(Monocultural)であれば十分可能です。可能ですが、工夫は必要です。

バイリンガルになるための生活の一部になるような英語環境は、インターナショナルスクールなどを除いて日本にはありません。

しかし、今ではインターネットを利用して、さまざまな英語コンテンツに触れることも可能になりました。

またSSUPでは毎日レッスンを受けたり、時間を気にせず話ができる英語環境を持つことも可能です。

つまり、あらゆる方法を使って生活の中に英語環境を作れるかどうかが鍵になります。

それさえ出来れば、日本でバイリンガルになることは十分可能です。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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